3月6日(木)~3月25日(火) 10~19時 入場無料
会場:フローラSAGAE3階/寒河江市美術館 ※3月12日(水)休館
――――――流れていく風景は彼の中で、どのように流れていったのだろうか。
車窓に映る、山、電線、鉄塔、道、トンネル、橋。移動の中で見えてくるもの、聞こえてくる音・・・
体感することのすべてが、彼の中でふつふつとわき上がり、床に置いたスケッチブックに刻み込んでゆく。
その切り取られた一瞬には、流れていく景色の時間をとめた、彼の思いがつまっているのかもしれない。
齋藤勝利 氏
1954(昭和29)年、山形県に生まれる。
小学校2年生頃より絵を描き始める。聾学校時代に絵の才能を見出され、学校の教師が指導にあたり、以後おびただしい枚数の絵を制作する。作品の殆どが車の車窓から眺めた風景で、流れては消えるはかない一瞬の景色を見事に描ききっている。現在、明かりが判別できる程度に視力が低下し、絵は描いていない。
齋藤勝利が描く風景の殆どは疾走する車窓そのものだ。そして、斎藤の眼はいつも空を見ている。春夏秋冬、昼も夜も、いつも空を見ている。車窓からの空は動くことなく、近景だけが後ろへと飛び去っていく。心のシャッターを押して記憶した風景を画面に再現しようとした時、近景は朧気に揺らぎ空が大きく輝きだす。その画面は一期一会の風景と過ぎ去る時間への思慕に満ちている。だから齋藤の作品ははかなく美しいのだ。
(最上町・資料より)